2025.02.26 議会質問報告

【令和7年第1回定例会予算等審査特別委員会】総務費「ジェンダード・イノベーション」

概要 Summary

 「心豊かな社会をつくる会」の大草よしえは、仙台市定例議会で毎回登壇して質問を行っています。令和7年第1回定例会では、本会議での一般質問に加えて、予算等審査特別委員会において、総務費、経済費、教育費の3つの審査案件に登壇し質疑を行いました。このうち総務費(2月26日)では、令和7年度施政方針について行った一般質問の答弁のうち、市として具体性に乏しかった「ジェンダード・イノベーション」について、一般質問に続いて質疑を行いました(一般質問の内容と市長答弁はこちら)。以下に大草よしえの質疑の録画中継(仙台市議会HPリンク)、質問内容及び答弁(全文)を掲載いたします。

録画中継はこちら

令和7年第1回定例会 2月26日 
予算等審査特別委員会(総務費)
心豊かな社会をつくる会 大草よしえ

ジェンダード・イノベーション

 総務費のうち、今年の施政方針に掲げられた「ジェンダード・イノベーション」について、一般質問に引き続き伺います。

 先の一般質問において、今年の施政方針に、これまでの計画にはなかった「ジェンダード・イノベーションに取り組む」という文言が新しく登場したため、本市として、どのようなビジョンをもって、誰を対象に、何に、どのようなアプローチで取り組む方針か、短期的かつ中長期的なビジョンを示してほしいと質問をしたところ、市長からのご答弁は「イノベーションの創出には、多様な人材の知識等の掛け合わせで、新たな価値を生み出すことが必要と認識している。今後、スマートフロンティア協議会で、企業の状況なども踏まえながら、知識の共有とサービスの検討を進め、仙台発のイノベーションを目指したい」といった趣旨のご答弁でした。

 一般論ですが、「方針」とは、組織がミッションや目標を達成するために取るべき行動を具体的に示すもので、「行動のもと」とも言われます。その一般論からすると、先日の市長のご答弁は、「スマートフロンティア協議会で、これから検討を進める段階」、つまり、「方針はこれからで、今はまだ方針はない」という理解になります。 しかしながら、そもそも施政方針として掲げているのに、方針がないこと自体、問題ではないでしょうか。本市としての主体的な方針が示されないまま、スマートフロンティア協議会にその検討を委ねることが本市の方針というなら、「思いつき」「丸投げ」と思われても、仕方がないと思います。そこで、本市のジェンダード・イノベーションに関する方針について、改めて、この場で、具体的に確認していきたいと思います。

 先の一般質問でも触れたように、今回の施政方針で「ジェンダード・イノベーション」というキーワードは初めて登場しました。まず、その大基となっている計画は何でしょうか?総合計画など、本市の長期計画の中で、どのように位置づけられ、今回、新たに登場した取り組みなのか、具体的にお示しください。

答弁 Answer

ダイバーシティ推進局

 基本計画においては、ジェンダード・イノベーションという用語を掲げておりませんが、これはイノベーション創出と共生のまちづくりを掛け合わせるものであり、基本計画の考え方に沿ったものと考えております。

 次に、その計画の方向性を体現するアプローチのひとつとして、なぜ、ジェンダード・イノベーションに取り組むことに至ったのか、検討の経緯と、選定理由をお答えください。

答弁 Answer

ダイバーシティ推進局

 昨年、この分野を先導するスタンフォード大学のシービンガー教授を招聘し、ワークショップを開催いたしました。その中で、例えば、無意識に男性基準で作られている製品があることや、逆に骨粗鬆症が女性特有の病気とされ、男性の症状は見逃されてきたことなどが示され、性別や年齢等の違いに気づくことにより、新たなサービスの創出につながる可能性を実感したところでございます。こうしたことから、東北大学と進めるスマートフロンティア協議会にワーキンググループを設置し、1月に産学官金連携のもと新たな取組みを開始したところでございます。

 それでは本市として、ジェンダード・イノベーションを推進するにあたり、本市の現状についてどのように認識し、何が課題と分析されていますでしょうか。また、その現状認識を踏まえ、本市として今後どのように進めていこうとお考えでしょうか。伺います。

答弁 Answer

ダイバーシティ推進局

 ジェンダード・イノベーションは比較的新しい概念であり、地域社会や企業の認知度を高める必要がございます。また、この考えは、固定観念を多様な視点から見直すことで、イノベーション創出につなげることから、昨年のワークショップのような場を提供するなど、無意識の思い込みに気づくためのプロセスが重要なものと認識しております。

 ご答弁いただきました通り、現状はまず、普及啓蒙の段階かと存じます。そして普及啓蒙の次の段階で、では実際に企業等がジェンダード・イノベーションに取り組もうとなった時、最初にぶち当たる障壁が、先の一般質問でも指摘した通り、無自覚の思い込みを自覚するフェーズと想定されます。逆に言えば、難しいからこそイノベーションのポテンシャルがあるわけですが、無意識の思い込みは、日常生活や業務の多様なデータに潜んでおり、その発見と解釈は必ずしも容易ではないことから、その点に留意し、ご支援いただきたいと存じます。

 それでは、その現状認識を踏まえた上で、令和7年度は、予算も含め、どのような取り組みを具体的に進めていく計画でしょうか。また、令和7年度の目標はどのように設定されていますでしょうか。伺います。

答弁 Answer

ダイバーシティ推進局

 まずは、東北大学のほか、この分野に精通する大学にご協力をいただき、スマートフロンティア協議会においてジェンダード・イノベーションに関するワークショップを実施するなど、産学官金さまざまな立場からアイデアを出し合い事業化を検討してまいります。新年度は、協議会の議論を踏まえながら、ジェンダード・イノベーションなどをテーマとした、新しい製品・サービス創出にかかる提案の公募を目指しており、採択された実証事業に対する負担金として1,000万円を計上しております。

 最後に、今後の意気込みについて伺います。

答弁 Answer

ダイバーシティ推進局

 ジェンダード・イノベーションでございますけれども、これまで国内外で学術的な研究が重ねられてまいりまして、近年は、これを具体的な製品、それからサービスの開発につなげようとする動きが活発になっていると、このように認識をしております。スマートフロンティア協議会においても、多くの企業が関心を持っていただいて、ワーキンググループに参加いただいておりますほか、東北大をはじめ複数の大学に関わっていただき取組みを開始したところでございます。まだ緒についたばかりではございますけれども、学都の知的資源を生かし、産学官による共創を進めてきたこれまでの蓄積を強みといたしまして、大学、企業、自治体などの持つ多様な発想やノウハウを掛け合わせ、市民の皆様の利便性の向上ですとか、住みやすいまちの実現、これにつながるように取組んでまいりたいと存じます。