令和7年第1回定例会 3月5日
予算等審査特別委員会(教育費)
心豊かな社会をつくる会 大草よしえ
科学館リニューアル
私からは、第9款教育費、第7項社会教育費のうち、昨年に続き、科学館のリニューアルに関連して質疑を行います。
本市科学館では、リニューアル改修工事が、令和5年度に4階展示フロア、令和6年度に3階展示フロアで進められ、令和7年度には、開館以来の全館リニューアルを迎えます。これらは「仙台市科学館 展示リニューアル基本計画」をベースに進められているもので、私も策定当時、科学館協議会委員の一員として携わらせていただきました。この計画に則り、進捗状況を確認したいと存じます。
(1)展示解説の充実化
まず、リニューアル第一弾の4階展示フロアがオープンして、約1年が経ちました。新しい展示の解説について、来場者等からはどのような評価があったでしょうか。伺います。
答弁 Answer
科学館館長
昨年4月に展示リニューアルした科学館4階は、「見て・触れて・試す科学」のコンセプトのもと、来館者に対し、科学の原理や法則に触れ、科学への興味関心を持ってもらえるよう、展示を工夫したところです。その中で「宮城・仙台の自然」エリアの動画解説やパネル解説については、来館者からは、わかりやすいとの評価をいただいておりますが、「科学の探究」エリアの一部展示において、科学の原理・法則についてさらに詳しく知りたいとの声がございました。
「展示解説が不十分」という声に対しては、現状をどのように分析し、どのような方法で改善を図ったのでしょうか。具体的な取り組みをお示しください。
答弁 Answer
科学館館長
一部展示について、さらに詳しく知りたいとの声をいただいたことから、科学館協議会の意見を伺いながら、さらなる興味関心に応える展示解説を行うよう努めているところです。具体的には、QRコードや動画を用いた展示解説や、展示内容の紹介を行うボランティアであるサイエンス・インタープリターによる、来館者と対面で行うワゴン解説等を新たに加えるなど、順次展示解説の充実を図っております。
「多様な層から『なぜだろう?』と思う科学の心を引き出し、科学の原理・法則に対する確かな理解」を促すことが科学館の理念の中核ですので、まずはその点を重点的に展示解説の充実化を図っていただきたいと思います。
(2)仙台の科学史
一方で、計画にも本市の課題としてあげられたように、今日の科学館に求められる役割は、科学の原理・法則の理解促進のみにとどまらず、「科学が社会にどのような影響を与えるか」を伝える役割も求められるようになりました。
そこで重要になるのが、歴史です。今日における科学と社会の関係が、どのような経緯でつくられてきたかを理解することは、わたしたちがこれからの未来、どのように進むべきかを考える上で欠かせない視点だからです。
しかしながら、仙台市科学館における歴史の扱いは、仙台発祥の歴史的発明品を数点紹介する一部コーナーのみにとどまっており、今回リニューアルされた「科学の探求」展示ゾーンには、仙台の科学史に触れた解説が全くありませんでした。

【写真】令和6年度にリニューアルされた「科学の探求」エリアの展示解説のようす。普遍的な発見や発明の解説のみにとどまり、本市の科学史について触れた解説はない。
そこで伺います。せっかく普遍的な発見や発明に、本市ゆかりの先人たちが深く関わってきた歴史が仙台にはあるわけですから、展示解説には、原理・法則のみならず、本市ゆかりの科学史も加えるべきではないでしょうか。それが他都市では見られない学都仙台ならではの特長ですので、仙台市民であれば、ぜひ知っておくべき歴史ですし、計画にもあるように「広域からの来館者には、これら郷土に関する情報の発信を通じて、宮城・仙台の特性や魅力を伝え、仙台市らしい科学館を感じてもらうきっかけ」にもなると考えます。科学館のご所見を伺います。
答弁 Answer
科学館館長
本市ゆかりの先人に関する展示については、現在進めている科学館3階のリニューアルにおいて、より目につきやすいエントランスに場所を変更するとともに、展示解説を充実させることとしております。関連する常設展示コーナーにおいては、QRコードを用い、展示解説とあわせて本市ゆかりの科学史を紹介し、より多くの来館者に本市ゆかりの科学の歩みを知っていただけるよう工夫してまいります。
(3)本市名誉市民の展示解説
市として取り上げるべき歴史のひとつが、本市名誉市民の功績です。今回のリニューアルでも、科学分野の名誉市民がエントランスホールに展示されると承知をしておりますが、全員ではなく一部のみを選んだと聞いております。しかしながら、科学分野で大きな功績があったとして本市が名誉市民として過去顕彰したにも関わらず、本市の施設として選り好みをすることは、問題ではないでしょうか。
少なくとも、仙台市立の科学館であるならば、仙台の科学分野の名誉市民については全員、展示・解説を行うべきと考えますが、教育長にご所見を伺います。
答弁 Answer
教育長
科学や医学分野の本市の名誉市民は12名いらっしゃいます。今回のリニューアルにあたっては、展示スペースの広さを考慮し、科学館の展示に関係の深い、科学館の初代館長でもある加藤多喜雄先生をはじめ4名の方々をご紹介することとしております。さらなる追加につきましては、そうしたスペースの制約条件なども踏まえながら、委員仰るとおりですね、科学と社会実装などについて効果的な展示や解説の方法を研究してまいりたいというふうに考えております。
実は、仙台の科学史を伝える場所が、仙台にはございません。本市の科学系博物館である仙台市科学館には、仙台市名誉市民をはじめとする仙台の科学史を、ぜひ伝える場になってほしいと願っております。
(4)科学的思考力
さらに科学館には、計画にも課題として整理されたように、単に「科学の知識を伝達する場」だけではない役割が求められるようになりました。その一つが、科学的思考力の育成です。科学的思考力は、当然のことながら、1回だけで身につくものではなく、積み重ねが必要です。
私からもこれまで議会で、「イノベーションにつながる科学教育」をテーマに本市科学館の機能強化を提案させていただき、「本市の必ず1回は中学生全員が科学館学習に参加するという、せっかくの歴史ある取り組みを活かし、1回だけでなく継続的に科学的思考力を育成するためのコンテンツ群の制作と指導体制を、大学等とも連携しながら構築すべき」との提言を行わせていただきました(参照:https://kokoroyutaka.net/parliament/20231011.html)。
科学館館長からいただいたご答弁では「大学等の研究機関とつながり、科学的思考力を高める魅力的な学びを実現できるようなコーディネート力に優れた人材の確保という視点も持ち合わせて、取り組みを進めて参りたい」とご答弁いただきましたが、その後の取り組み状況は如何でしょうか。伺います。
答弁 Answer
科学館館長
本年4月予定の展示リニューアルを捉えた、先端科学技術に触れて学ぶことのできる「連携ラボ」コーナーの新設にあたっては、大学等の研究機関のコーディネーターと科学館職員が意見交換を重ねながら、その具体化につなげたところでございます。今後も、大学等のコーディネーターと円滑なコミュニケーションができるよう、科学館職員の資質向上を図ってまいりたいと存じます。
(5)大学等との連携強化
では如何に大学等との連携を強化していくかという観点から、昨年の議会では連携の課題について、大学等からの声をもとに、具体的な指摘をさせていただき、私からは「まずはトップと現場の間の階層で、組織対組織の合意形成ができる体制づくりが必要」などの提言を行わせていただきました(参照:https://kokoroyutaka.net/parliament/20240306.html)。
教育長からは「ニューアルによる展示の充実も契機とし、本市と大学等との連携強化について取り組んで参りたい」とご答弁いただきましたが、その後の取り組み状況は如何でしょうか。伺います。
答弁 Answer
科学館館長
本年4月に予定されている展示リニューアルを契機に、ナノテラスに関する展示など大学と連携した展示の充実を図ったほか、先端科学技術や理科教育に携わる大学等のコーディネーターとの関係構築を進めることができたところです。今後さらに、先端技術をわかりやすく紹介するセミナーや企画展の開催を検討するなど、東北大学をはじめとした在仙の大学等との連携強化に取り組んでまいる予定です。
最後に、科学館の今後について、教育長に意気込みを伺います。
答弁 Answer
教育長
仙台市科学館は、地域の科学教育の中心としまして、子どもたちや市民に科学の魅力を伝える重要な役割を担っていると認識しております。この度のリニューアルにおきましては、「なぜだろう?」という“科学の心”を引き出し、そして科学的な視点で世界を捉える“科学の目”を育む場づくり、そしてまた最新の科学技術や知見を取り入れた展示などに意を用いてまいりました。引き続き、科学館でのこうした取組を通じまして、子どもたちをはじめ、より多くの市民のみなさまに科学の楽しさや重要性を伝えてまいりたいというふうに存じます。
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