2025.04.05 調査研究報告

仙台市科学館リニューアルオープンと西澤潤一先生の「世界初のLED赤色灯」

仙台市科学館リニューアルオープン記念式典(2025年4月5日)

 仙台市科学館が全館の展示室改修を終えて、2025年4月5日、全面リニューアルオープンし、記念式典にお招きいただきました。

 仙台市科学館は、昭和27年(1952年)にレジャーセンター内(現在の錦町公園)に開設された「サイエンスルーム」にはじまり、平成2年(1990年)に台原森林公園内に移転され現在に至ります。昨年4月には4階常設展示室が先行リニューアルオープンしましたが、今回で移転以来(約35年ぶり)の全面リニューアルとなりました。開館当初からの「ふれる科学、ためす科学」のコンセプトを受け継ぎつつ、「本物」との出会いや体験により、科学の学びをより一層深められる展示内容へと一新されています。

 従来の展示内容は情報自体が古くなっていたことに加えて、これまで部分的な改修を重ねたことで各エリアの展示テーマが伝わりにくかったことが長年の課題でした。このたびのリニューアルにより、施設全体でストーリーを明確化することでゾーニングが見直され、各々のテーマに沿った展示構成へと再編成されました。

今回リニューアルされた3階常設展示室

「自然と災害」東北大学地震・噴火予知研究観測センター連携展示

 今回リニューアルされた3階常設展示室(旧「生活系展示エリア」)は「生活と科学-ワンダーサイエンスルーム-」と題し、今までの科学館のコンセプトを踏襲して日常でのふしぎな現象を体験してもらうとともに、さらに地域の大学等と連携した最新科学技術の紹介や、災害や防災展示を充実化させることで、科学と社会や人との繋がりをより感じられる内容へと再構成されています。また、チャレンジ・ラボのオープンスペースでは講演会やサイエンスショーも実施できるようになっていました。

地域の大学等と連携した最新科学技術を紹介する「連携ラボ」

仙台ゆかりの偉人や発明などを紹介するブースの新設

 さらにエントランスには、仙台の科学に関する偉人や発明などを紹介するブースが新設されました。八木・宇田アンテナ(八木秀次博士と宇田新太郎博士)、磁石(本多光太郎博士)、光通信(西澤潤一博士)、生体高分子の質量分析(田中耕一博士)、紙飛行(二宮康明博士)、そして初代館長の加藤多喜雄博士が展示されています。

「世界初のLED赤色灯」

 このうち西澤先生のパネルで展示されているLED赤色灯は、西澤先生御本人から仙台市消防局青葉消防署片平出張所へ寄贈されたもので、私が2009年に西澤先生にインタビューさせていただいた際に「世界で初めて開発したLED赤色灯」と伺っていたものでした(以下URL参照)。30年以上もの長きにわたり、なんと現役で活躍していましたが、今年3月にその役目を終えたレガシーです。

西澤潤一さん(元東北大学総長)に聞く:科学って、そもそも何だろう?

 実は、令和6年第3回定例会の一般質問で西澤先生の業績に触れたことをきっかけに、このLED赤色灯のことを思い出し、片平出張所の前を通るたびにLED赤色灯が点いたり消えたりしているのを見て、貴重なものと知られずに廃棄されてしまうのではないかと心配しておりました(後から聞くと、点いたり消えたりしていたのは、寿命のせいではなくスイッチ式だったためとのことですが、偶然にも撤去半年前に胸騒ぎがしてよかったです)。

 そこで議会質問後、あの赤色灯はただの赤色灯ではなく、西澤先生によって開発され仙台市に寄贈されたものと西澤先生ご本人から直に伺ったものであるため、仙台市側で資料を確認の上、廃棄せず適切に管理して欲しいと仙台市に依頼したところ、消防局をはじめ関係各位から多大なるご尽力をいただいたおかげで(実は資料が仙台市には残っていなかったのですが、消防局OBにも広く問い合わせていただいたおかげで当時の資料を発見いただきました)、今回リニューアルオープンした仙台市科学館で、西澤先生のパネルとともにLED赤色灯が展示される運びとなった次第です。関係各位のご尽力に、この場をお借りして感謝申し上げます。


西澤潤一博士の展示解説に追加された「世界初のLED赤色灯」

関連する議会質問

 なお、科学館に関しては、これまで議会にて以下の通り取り上げさせていただきました。

【令和7年第1回定例会 予算等審査特別委員会】大草よしえ質疑内容・答弁:教育費「科学館リニューアル」(2025.03.05)
【令和6年第3回定例会 決算等審査特別委員会】大草よしえ質疑内容・市長等答弁:「生涯にわたり誰もが主体的に自分らしく学べる機会の充実」(2024.10.02)
【令和6年第1回定例会 予算等審査特別委員会】大草よしえ質問内容・市長等答弁:「科学館展示リニューアル」(2024.03.26)
【令和5年第3回定例会 決算等審査特別委員会】大草よしえ質疑内容・市長等答弁「イノベーションにつながる科学教育」(2023.10.11)